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 サンティーニのカヴァレリア・ルスティカーナ




マスカーニ 「カヴァレリア・ルスティカーナ」
 全曲

サンティーニ/ローマ歌劇場 

サントゥッツァ        ビクトリア・ロス・アンヘルス
トゥリッドウ         フランコ・コレルリ
アルフォ           マリオ・セレーニ
ローラ            アドリアーナ・ラッツァリーニ
ママ・ルチア        コリンナ・ヴォッツァ


『カヴァレリア・ルスティカーナ』とは、「田舎騎士道」という意味らしい。

このオペラは不倫に絡んだ決闘の物語だ。

 あらすじ
トゥリッドウという若者が兵隊に行っている間に、恋人だったローラが馬車屋のアルフォの妻になっていました。トゥリッドウは、サントゥッツァという別の娘といったんは恋に落ち、婚前交渉までしてしまった関係にある。しかし、トゥリッドウとローラの二人は不倫の関係にあり、これをサントゥッツァに知られてしまっている。

サントゥッツァは、ローラの亭主のアルフォにこのことを告げ口する。酒の席で、トゥリッドウはアルフォに決闘を申し込む。家に帰って、母親のルチアに別れを言い、サントゥッツァのことを頼む、といって飛び出していく。決闘で死ぬのがわかっていたのだろう。最後は「トゥリッドウさんが殺された!」という声で幕になる。


この物語は、復活祭の当日の出来事ですので、復活祭の合唱の声が聞こえたり、音楽自体はとても美しく、間奏曲はこれだけで単独で演奏されるものだが、お話は不倫や殺人に絡んだドロドロの愛憎劇なのだ。際立った音楽の美しさが、人間の感情のもつれから起きた事件を、よりリアルに見せているとも言えるかもしれない。

マスカーニには他にもオペラ作品はいくつかあるが『カヴァレリア・ルスティカーナ』のみが際立って有名で、私が所持している全曲盤ものでは、他には「友人フリッツ」ぐらいしかない。



現代ではB級盤なのかもしれない。しか〜し・・・・・。

この録音では特にフランコ・コレルリがなかなかに素晴らしい。「乾杯の歌」ではビョルリンクやディ・ ステファノ、ベルゴンツィのような甘い歌い口とは違って、汗臭いイタリア男のような味わいがあるし、ラストでは持ち前の粘っこさを逆手にとって見事な泣き節を聴かせてくれる。対照的にサントゥッツァのビクトリア・ロス・アンヘルスも清楚な感じの魅力があり、一聴の価値ある録音だが、復刻CDの音質が良くない。ARTで復刻されれば良くなると思うが、この録音は、カラヤン盤(DG)やEMIとDECCAの2つのセラフィン盤、エレーデ盤など、モノラルからステレオ初期の他の「カヴァレリアルスティカーナ」の名盤の影に隠れて、高音質な復刻盤が出てくることは難しいだろう。



復刻CDの音が悪いので、より損している感じ。

DGのカラヤン盤などは、ドイツ盤のジ・オリジナルスで復刻されたCDで聴いても音質はとても良く、演奏の良さが引き立っているので、これからもながく後の時代まで愛聴されるだろうが、この盤は復刻CDの音が良くないので、余計に損をしている。英国盤の初版や金切手(2版)くらいのLPで聴くと音質は全くちがい唖然とするくらい。元の録音は決して悪くなくむしろ良い録音だと思えるので、聴き手が感じる演奏の良し悪しも左右されてしまう感じがするのだ。そういう意味でこのLPセットは貴重で、この演奏をCDしか聴いてない人に聴かせたいくらい。



LPで聴いたら演奏の評価は良くなるかも・・・・。

左は1968年〜71年ごろ製造されたLP、右がオリジナル盤(1963年初出)。レーベルがオリジナル盤のもので厚いボックスに入ったものもあるが、正真正銘の初出のものは、ここにある薄い見開きのジャケット仕様のものだ。
 

上記、2セットどちらが音が良いかという判断は難しい。オリジナル盤は音がぶ厚いが、2版はFレンジが良く伸びダイナミックレンジも広いぶん、やや音が細身。値段はオリジナル盤の1/3くらいまでの値段で2版が買える。このLPレコードの絵柄だが、トゥリッドウがアルフォに決闘を申し込む場面だと思う。(相手の耳を噛むことが決闘を申し込む合図なのだ。)



以下は、手持ちのCD。EMI音源のオペラ録音の2枚のCDが裏表紙に付いている本で、マタチッチ指揮のレオンカバッロ「道化師」が同時に収録されている。これ以外に外盤ではEMIミッドプライスシリーズからも出ているが、いずれも音質は同時代のEMI復刻ARTシリーズのオペラものに比べ大幅に劣る。



EMI CLASSICS Black Dog Opera Library

本にCDが付いたこのシリーズはオペラでは魔笛、コシファントゥッテ、椿姫など10種ばかり発売されたのではなかろうか?10冊とも手持ちにある。

 



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