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なぜいまだにLPなのか


CDが登場して20年、一般の音楽ソフトがLPレコードからCDに移行して約15年が経とうとしています。現在ではLPの新譜発売はとても少ないし、CDの方が手軽に音楽が聴けるからアナログは完全に時代遅れの感がありますど、一部の人達はいまだにアナログをやっています。LPレコードは、95年を底に、少しずつCDに対してシェアを盛り返しているようで、当分、全く無くなってしまうという状況にならないと思います。もっとも中古市場をも含めれば、安価な国内盤から高価な往年の名盤のオリジナル盤までよりどりみどりです。

CDが本格的に普及し始めた80年代中頃、新譜はCDとLP両方出ていたのですが、CDは¥3200位したのに、LPは¥2000位で買えてしまいLPばかり買っていて、CDプレーヤーの導入が遅れたのと、その頃すでに一生使えるようなレコードプレーヤーと、かなりの数のLPを持っていたので、簡単にCDに買い換えることがためらわれたのです。その当時のCDソフトとCDプレーヤーの音質は、今のそれとは比較にならないほど貧弱で、アナログを上手く鳴らしている人にとっては、満足できるものも少なかったと思います。

現在は、CDの音質はかなり満足できると思いますし、昔の復刻盤の音もよくなってきました。CDの価格も昔のLPの時代より安いです。でも、同じ音源で比較すると、LPの方が良い音で鳴ってくれるものがいまだに数多くあります。

私が高校生だった頃は、一ヶ月のこずかいでLPレコードがやっと1枚買える程度だったのです。だから、どれを買うのか非常に選択眼が厳しかったです。今はソフトを買いに行くとまとめ買いしてしまい、昔のように1枚のLPを何度でもむさぼるように聴く真剣さが無いように思い、反省することしきりです。昔、少ないこずかいをはたいて買ったレコードは、現在あまり聴く機会が無くても手放せないものです。オペラの全曲盤を買うとなると、非常に経済的に厳しいものがありました。大学生のころ、昼食を削って購入資金を捻出したのも懐かしい想い出です。

現在、アナログをやる意味は大きく分けて3つあると思います。



スーパーアナログ指向 

CDを驚駕するハイパフォーマンスな音を目指す。少なくとも、数分の一の予算で、トランスポート+DAコンバーターで数百万円するハイエンドCD機器に匹敵する音が出せます。良い装置でLPレコードをかけますと、ノイズはスピーカーユニットにへばりついたままですが、楽音はスピーカーから離れて定位し、完全に分かれて聴こえますので、ノイズ自体が気になりにくいです。カートリッジ、プレーヤーシステム、アームがLPの爛熟期以後に出現した微細な情報を拾うもので現代的な音を狙っているものなら、CDより高域がストレスなくスピーカーから解放されるように鳴り、より実体感、存在感のある音で鳴ります。LPの音のバランスがおかしい物でない限り80年代以後の新しいものでも、CDよりLP有利なものが多いように思います。

ソフトの音質は、LPは良い物はとんでもなく良いし、劣悪なのはどうしようもなくひどいものがあり玉石混淆の感がありますが、CDは可もなく不可もないような感じで平均化されているような感じがします。 それぞれの平均をとったらCDの方が良いかな? しかし、高音質なもの同士で比較したら、たとえトランスポート+コンバーターに数百万かけようとも、CDはLPに未だ及ばないレベルだと思います。 私の場合、DP100をこの目的で使用しています。



レトロ指向

古い録音のものをその時代に作られたレコードに合わせ、その時代の音を楽しむ。古い時代に製造されたLPレコードが愛聴盤ならば、無視できません。CDの復刻が良い状態でなされているかというのも??ですから。古い録音のものは再生装置によっても評価がまちまちになると思います。LPだと古い録音のものは、63年、 68年、第一次オイルショック、第二次オイルショックと区切られるように、プレスの年代で音が違います。もちろん、プレスの国によっても変わります。あくまで当時のオリジナル盤もしくは60年代の古い初期盤を対象にした場合、新しい装置で新しい録音の良い物がより良い音で鳴るように調整された装置では、レーベルや個々のアイテムによって変わるとは思 いますが、古いLPレコードの古さばかりが気になるような再生しか出来ない場合も出てきます。

ですから、古いアナログ装置というのも存在価値があるわけです。カートリッジは当時から の生き残りのモデルないしそれのリファイン版を使い、アームやプレーヤーもいたずらに 高解像度やFレンジを欲張る方向でなく、中域を分厚く提示するような音のタイプは、これならではの音がするわけです。当然、製造年代の古いLPレコードにことさらマッチングが良くなり、 これでなくては出せない味わいというものが出せるのです。 SX777Lはこちらを目的に使用しています。



DJスクラッチ

若い人に人気ですね。私はおじさんなのでやりませんが、DJスクラッチをやっている若い人達には、ある意味感謝せざるをえません。現在のアナログのニーズを支えているのは彼らですから。

       おじさんから若者に一言:  LPレコード大事にしようね。




コレクションもLPの方が楽しい

ジャケットに魅せられて買ってしまったLPは多いです。CDは小さいだけに、オリジナルジャケットデザインの復刻CDであっても見劣りします。クラシックだと昔のドイチェ・グラモフォンのLPと復刻CDのジ・オリジナルス・シリーズを両方持つと、この事は余計に感じてしまいます。

それと、最近のCDは解説書が貧弱ですね。例えば、オペラなど対訳が付いているものであっても、歌手の写真入りのプロフィールなどが省略されてしまっていたりするものも多いです。LPの場合、対訳だけでなく、非常に詳しい解説や貴重な写真や資料が載っているものも多く、それを眺めるだけでも楽しいです。

取り扱いが面倒だというのも、裏返せば愛着に通じますし、CDが登場する前はそれが当たり前だったわけで、その当時からLPを聴き続けている私としては、おっくうだという意識が少ないのが幸いしています。CDは便利ですが、現状の中古市場のLPは、一部を除き非常に安いです。私は外盤を狙っていますので、この
ような値段で手に入れるのは無理なんですが、都内であれば¥100や¥200のバーゲンコーナーにも往年の名演のLPが入っていることも多いです。おまけに、非常に安価で割合に音の良いレコードプレーヤーも未だに発売されています。コストを考えたら、CDをコレクションするよりずっと安く音楽を楽しむことが可能なのです。

LP所有枚数  約3000枚(沢山あったときは4000枚近くあった(^^;)
CD所有枚数  約500枚(これ以上増えないよう、増えたら減らしている)
LD所有枚数  約100枚(ほとんどオペラや音楽関係)

全体的に、クラッシック7割強 残りがジャズ、ポピュラーの割合。LPは中古レコードを中心に外盤を今でも探し求めています。現在は国内盤排斥運動が進み、全体の7〜8割が音質の良い外盤です。


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