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天井の高さは約3.2mあり、完全ではあ
りませんが黄金分割に近い直方体の部屋
です。

天井の吸音層は、後ろの方が厚く造ってあ
ります。天井の表面はオトテンという天井材を
貼っています。

◆リスニングルームの重要性◆
私の好きなホールは、東京文化
会館、サントリーホール、浜松ア
クトシティ大ホールです。ホール
が違ったり座席の位置が違えば、
同じ指揮者でオーケストラの同じ
プログラムでも、聴き手の受ける
印象は全然違います。

それは我々のリスニングルーム
も同じです。元テクニクスの技術
者でSB8000やモニター1の設計
者の石井さんのお話を聞く機会に
恵まれました。石井さんは、御自
分が設計されたスピーカーを評価
してもらうために、オーディオ評論家宅をはじめ、様々な場所で同じスピーカーを聴いて、こんな
にも音が違うのかと驚き、同時に、これはスピーカーの評価ではなくスピーカーと部屋の相性の
評価であるとも思ったそうです。上手く鳴っていた所に居合わせた評論家は良い評価をしてくれ
たし、部屋が悪く変な音しか出ていないのを聴いた評論家の評価は当たり前ですが厳しかった
ということでした。MJなどで室内音響のことを執筆したりしだしたのは、こういう経緯があって自
分のオーディオ部屋を作るのに、他人より音の良い部屋が欲しかったからだ、とおっしゃってい
ました。

部屋の概要

実質20畳強の母屋とは独立した平屋のリスニングルームです。、実際に作ってしまってからあ
あすれば良かったこうすれば良かったという事は正直ありますが、一番のメリットは、真夜中で
も気兼ねなく音楽が楽しめるようになった事
です。一人暮らしをしていた頃、アパートの六畳間
でオーディオをやっていた時期がありました。他人に迷惑にならないだろうかと気兼ねして蚊の
鳴くような音量で聴いたりすることが、どれだけ音楽鑑賞に浸る気分を萎えさせてしまうか、経
験者なら実感されていると思います。


吸音層の厚みは壁面ごとに変えてあります。背部の壁面の吸音層は約1m、左右の壁面は約
30cm、正面は15cmです。背部とスピーカーの周囲の壁面は米松の角材でスリット状にし、
側面はケヤキの付き板の床材を貼ってあります。米松の角材で出来た壁の間柱の間隔は、
共振を分散させるためにランダムになっています。

窓は二重サッシで外側のサッシと内側のサッシの間隔が20cmほど離してあります。外側のサ
ッシはガラスの厚い特注を用い、内側のサッシは金属フレームの鳴きを嫌って、樹脂フレーム
のサッシになっています。

床の表面はカリンの集成材で、コンパネと石膏ボードが各2枚ずつ入れてあり、支柱の間隔を
密にし、根太の太さも3寸角と太いものを使いました。コンクリートの打ちっ放しの床にはかない
ませんが、木造の床としてはかなり丈夫に造りました。





入り口のドアは、鉄フレームでマグネチック・シールド付きの玄関用ドアを用いました。下手な
遮音用ドアより遮音効果が高いです。

エアコンは、業務用の200V三相で動く天井埋め込みタイプを使いました。エアコンの動作音
を少しでも減らすために埋め込む部分をベニヤ板と吸音ボードで囲うように、あらかじめ施工
して貰いました。エアコンの電源とオーディオ用の電源は完全に分離していますので、エアコン
の電源ノイズの侵入に対しても有利になっていますし、容積に対して余裕があること、稼働時
には風切り音ぐらいしか聞こえない程度まで静かです。

こうすれば良かったなという点は、施工前に石井式の室内音響理論の知識が無かったため、
各壁ごとの吸音の周波数帯域が異なること、窓を大きくしすぎたこと、オーディオ装置以外に
大量のLPレコードやCDがあるために、当初の設定よりデッドな部屋になった事です。
ただ、救われる点は、壁、床などの仕上げ材に天然の木材を使ったため、響きが自然なこと
です。ビニール・クロスや表面がビニールで出来たツキ板(見た目は本物の木と見分けが付
かない)は、反射音にビニール特有の音が乗りますので、石井さんに言わせると使ってはい
けない
そうです。

普通は、自分の部屋に合わせてスピーカーを決めると思うのですが、スピーカーに合わせて
部屋を造るというのもアリだと思います。私の場合は、当然ウエストミンスター使用が前提の
リスニングルームです。


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リスニングルーム