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 6B4Gシングルアンプ



普段、あまり稼動しない6EM7ロフティンアンプを解体し、6B4Gシングルアンプを作ることにした。使用されるトランス類は、出力トランス:SS5B2.5というZp2.5Kのものだし、チョークコイル:6BC10はインダクタンス10H、電源トランス8A54も6B4Gのシングルアンプにはちょうど良いタップを持っていたし、運よく旧ソ連製の6C4CとスタンプされたH型プレート構造の6B4Gを、非常に格安で手に入れたのが製作の動機だった。

前段をどうしようかと思っていたところに、秋葉原のクラシックコンポーネンツで、TUNG-SOL製の6SF5GTが10本¥4500という価格で売られていた。6SF5GTはμ100で、12AX7という双三極管の1ユニット分に相当する真空管だから、これを片ch2本用いてSRPPにすれば6B4Gをドライブできるし、ソケットはオムロンのリレー用を使えば12AX7を使用するよりも返って安く済み、出力管以外に小型GT管が4本も並ぶので見た目も良くなるだろうと思った。シャーシはリードMK350いう1.5mm厚のアルミで出来たボンネット付きの無穴シャーシを使った。





回路は「オーディオ真空管アンプ製作テクニック」森川忠勇著の中の2A3シングルアンプの回路をほとんどそのまま頂いた。ただし、グリッドチョークは使わずに普通のCR結合とした。整流管は5U4Gや5Z3を使いたかったが、8A54の5Vのヒーター巻線容量は2Aであったので断念し、5AR4を使った。6B4Gのフィラメントは日本インター31DQ04という40V3Aのショットキ・バリア・ダイオードを自分でブリッジに組んで直流点火した。ブリダー抵抗無しで出力が約6.8Vだったので、0.5Ωのセメント抵抗を入れ、ぴったり6.3Vとなった。

   


6B4Gは、旧ソ連製のH型構造のものと現在秋葉原で容易に手に入るソブテックの1枚プレートのものを差し換えると、かなり音質に差があることがわかる。旧ソ連製のH型構造のものは高域がしなやかで中低域が厚くなり、昔の米国製の2A3の音に近い。1枚プレートの方は全体が引き締まって高域がより伸びるが、全体に固い音。ピアノの再生なら1枚プレートの方が良いかもしれないが、ボーカルや弦の響きは旧ソ連製のH型構造のものの方が美しい。尚、背の低い旧ソ連製のH型構造の6B4GならばリードMK350のボンネットは問題なく取り付けられるが、ソブテックの1枚プレートは若干背が高く、製作時にソケットを落とし込むなど工夫しなければボンネットが装着できない。


簡単な特性チェックをしてみた。

出力は約0.6V入力で左3.2W 右3.5Wあたりでオシロの正弦波の波形が崩れだす。

残留ノイズ 左0.5mV、右0.6mV 入力ショート(能率約100dB/wmのアルテック604−8GUrei仕様に繋いでもハム音は深夜でも気にならない。)

周波数特性 8Ω負荷1W出力時 
低域 -3dB  20Hz  -1dB  41Hz
高域 -3dB 46KHz  -1dB 31KHz

前段が内部抵抗の大きいHiμ管だが、SRPPにしたことで無帰還のシングルアンプとしては高域はまずまず伸びている。低域は出力トランスがコアの小さなLUX SS5B2.5なので、まあこんなものだと思う。



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