VIOLA SPIRITO Reference Preamplifier VIOLA BRAVO Stereo Power Amplifier ショップで、以上のアンプを試聴してきました。 VIOLAというブランドは初耳の方が多いと思いますが、トム・コランジェロとポール・ジェイソンという2人が中心のアメリカのメーカーです。トム・コランジェロは、長くマーク・レビンソン氏と組んで、様々な名器を世に送り出した技術者で、初期のマーク・レビンソンのLNP2LやML2Lの実質的な設計者です。その後、マーク・レビンソン氏と組んでCello社において、AUDIO・SWEET、AUDIO・PALLET、PERFOEMANCE、ENCOREシリーズのアンプを設計していました。現在は、マーク・レビンソン氏と袂を分かち、VIOLAというブランドの製品を世に問います。自分が長年愛して使っているアンプの実質的設計者でもあるので、非常に気になる製品なのです。
:試聴条件: CDトランスポート: Esoteric P0s(最新アップグレード済み) DAC : Pasific Microsonic HDCD AD/DA コンバーター プリアンプ : VIOLA SPIRITO Reference Preamplifier パワー : VIOLA BRAVO Stereo Power Amplifier スピーカー : TANNOY キングダム ケーブル類は全て5N相当の銀単線を使用したショップオリジナルケーブル パワーアンプだけのプロトタイプの試聴でも、低域が引き締まり、Fレンジの伸びが素晴らしく、しかも、ワイドレンジだからといって音像が全く薄くならず濃厚にきこえましたが、今回のプリパワーセットでの試聴は、大型のアンプの豪快な音と非常に緻密で高分解能で俊敏な音を併せ持っているのがよくわかり、キングダムはモニタースピーカー的に駆動され、非常に引き締まった緻密でワイドレンジで立ち上がりが早い音がしていました。キングダムの46cm口径のウーハーをこんなにも軽々と制動してドライブできるアンプを他に知りません。出てくる音は一般のタンノイのイメージとはほど遠い感じです。高音質なソフト、特に加工の少ない音源のCDは非常にいい音で聴けました。しかし、音の良くないソフトはアラをさらけ出します。新しい高音質の音源を追いかけて聴く方には、この音は本当に素晴らしい音だと言えました。 設計者が同じですから当然ながら、昔のマークレビンソンのアンプやCelloのアンプに、音の立ち上がりの良さなどの音の傾向は非常に似て、昔のマーク・レビンソンの頃からの独特の瑞々しさは兼ね備えています。Celloと比較すると、Cello独特の美音的な感じは減退し、ひ弱な感じは一切ありませんし、全帯域で明らかに解像度が向上して、やはり新しいアンプだなあと感じる音です。人気の海外製のアンプの音ですと、ジェフ・ローランドよりゴールドムンドに近い感じですが、ゴールドムンドより音は厚く豪快で、しかも暖かみがあります。 問題は、そのお値段。VIOLA SPIRITO Reference Preamplifierは、ベーシックモデルが475万円。VIOLA BRAVO Stereo Power Amplifierは、400万円。ブリッジ接続でモノラルアンプとしても使用できるが、そうすると800万円。とんでもなく高い!私には手の届かない夢の製品です。 DAC : Pasific Microsonic HDCD AD/DA コンバーターについて 一般にはあまり知られていないモデルですが、私が試聴したことのあるDAコンバーターの中で一番素晴らしいと思ったモデルがこれです。音の方向性はCelloやVIOLAと全く同方向の音です。しかし、このモデルはHDCDを製造するための製造原器としての完全なスタジオユースのモデルで、ADコンバーターなど一般のユーザーには不要なものも付属していることもありますし、コンシュマーには発売されずに製造販売が終わりました。dcs エルガープラスも、それを上回るとされるWEISS MEDEAも、このコンバーターの前には、私の耳には色あせてきこえました。アナログレコードで言えば、カッティングマシンでLPレコードをかけて聴くようなもので、反則行為かも知れません。 2003.5.26記 |