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  PCL86/14GW8プッシュプルアンプ





コストを押さえ2万円台で10W前後の出力を持ち、スターリングやコンチェルティーノをドライブできる管球アンプを作るのが命題でした。

PCL86/14GW8は、秋葉原のサンエイで10本¥2000で買ったものです。つまり、このアンプは1本当たり¥200の真空管を4本搭載したものです。シャーシはリードのMK300を使いました。フロントパネルは5mm厚のアルミ板を加工してACスイッチとパイロットランプをシャーシーと共締めしてあるだけです。入出力端子が横にある理由は、このアンプを出窓の右隅にぴったりくっつけて置きたいからです。シャシーや小物部品の多くは、惜しまれながら閉店したパーツショップイワサキさんの閉店時のセールで非常に格安で手に入れたものを用い、ブルーの縦型ケミコン450V220uF 2個はLarry Hi Fi在日代表さんにタダで頂いたものを用ましたので、実際には総コスト2万円を切っているかもしれません。



今回のアンプは、ラジオ技術1998年6月号掲載の那須好男氏設計のPCL86プッシュプルアンプの回路を基に、安くあげるためオリジナルのタンゴのトランスは使わず、春日無線変圧器のものを使いました。また回路的にも反則技をいっぱい使い改悪しました。初段は石塚電子の定電流ダイオードE102を使った差動型位相反転回路ですが、このマイナス電源はPCL86のヒーター巻線と共用しています。普通はこんなことしません、良い子はまねしないでください。使用した春日無線変圧器の電源トランスKmB250F2の巻線はこんなふうになっています。

    0V−30V−170V−230V AC 290mA  DC 180mA
    0V−6.3V−12.6V−14.5V−16.0V AC 2.0A

PCL86/14GW8のヒーター電圧は14.5Vで、1本あたり0.3A食います。ヒーターは4本で1.2Aしか食いません。まだ余裕があるので、初段のマイナス電源ももらっちゃおうという発想です。PCL86はヒーターカソード間耐圧は充分に大きいので大丈夫だろうと予想しました。心配だったのはマイナス電源からの整流ノイズのために、ヒーターハムが大きくなるかもしれないということでした。

完成した状態では、チョークを使っていないチープな電源部のくせに、両chとも残留ノイズは0.4〜0.5mV程度となり、心配は杞憂に終わりました。

出力も1KHzで10W以上出ています。このときの入力は約0.8Vですのでゲイン的にも非常に使い易いアンプとなりました。出力トランスは1個¥3000のKA−8−54Pという、これまたチープなものですが、2次側4Ωをアースしてカソードフィードバックをかけました。この効果が大きく、オーバーオールのNFBは6dB弱で済みました。この出力トランスの高域減衰特性は素直で、簡単な位相補正のみで、-3dB95KHz、-6dB145KHzで、1MHzまで観測しても特に気になるピークはなく素直に減衰しています。低域は小型トランスの宿命で、80Hz以下はかなりあやしいです。でも、1W出力で-3dBで15Hzまで出ますので、価格を考えるとまずまずの特性ではないかと思います。

能率86dB/mしかないソナス・ファベール コンチェルティーノもちゃんと鳴ります。現在は、ラックスD500X’sII(CDプレーヤー) → PCL86PP → コンチェルティーノ(スピーカー) というラインナップで鳴っています。コスト的にはほぼ同じくらいの6BQ5シングルのキットTRIODE Mini84MK2よりも出力が上回るだけでなく、音質的にもこちらの方が良いです。



 





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