ヨーロッパのNOS球のみを使って製作 EL5/375(4689)QUAD2型アンプ
EL5/375(4689)という真空管とその他の使用球について
設計製作コンセプトと回路オリジナルQUAD2型アンプに採用されているKT66、EF86、GZ32という超高価になってしまったNOS真空管は避けながら、また、中国やロシアで製造されている現行球を使用するのも止めて、廉価で素性の良いヨーロッパ製のNOS球だけを使って、ローコストで高性能、高音質のQUAD2型アンプを製作するという身勝手な計画を立てた。 トランス類、シャーシ
内部の様子配線は決して綺麗に出来ていないが、メンテナンスがやりやすいようにはなっている。部品点数が少ないので、音質を左右するCR部品にはこだわった。 特性無帰還 95mV入力 約12W 残留雑音1.1mV両chとも
NFB 約18dB 0.75V入力 約12W 残留雑音 Lch 0.22mV Rch 0.21mV
10KHzの方形波応答を観ながら、2400pFのディップマイカコンデンサを抱かせ位相補正をした。 周波数特性(NFB 約18dB)
Rch 高域 -3dB 100KHz -6dB 167KHz 低域 10Hzまでほぼフラット 1KHz(2.8V出力時)
Lch 高域 -3dB 98KHz -6dB 165KHz 低域 10Hzまでほぼフラット 1KHz(2.8V出力時)
TANGO XE-60-5は非常に優秀なトランスだ。これだけの位相補正だけで、600KHzまでほぼなだらかに減衰し、大きなピークやディップが出来ない。
音質低域が良く締まり、躍動感があり音抜けが良い。透明感があり切れ込み良く、それで居てヨーロッパ的な端正さも合わせ持つ。Tannoyとは相性が良く、WestminsterでもStiringでもかなり鳴りっぷりは良い。 予算真空管が廉価なのと、シャーシを自分で穴あけして塗装したので、2013年時点で部品代はステレオ2台で約18万円。出力トランスだけで7万円弱、トランス類のコストが全体の約6割を占める。QUAD2型アンプについてQUAD2型アンプが発表されたのが1950年代の終わりごろだが、この位相反転回路の解析については、最近も技術誌で解析や考察が行われていた。ネット上でも、沢山の考察がある。雑感:「上杉佳郎:807pp高性能メイン・アンプの設計・製作」
以上の解説では、スクリーン結合が平衡性の重要なポイントであると結論づけられている。
しかし、こういう解析・考察もある。こちらが正しいと思う。上杉先生でさえ間違うのだから、私ごとき素人には、完全に理解しろと言われてもまず無理だ。
一日一回路 vol.3
2005/1/1
新BBS立上げ記念 新年特別寄稿
2.の初段のカソードに2段目カソードから正帰還信号を与えて、初段のゲインを高めている、というのがミソだと思う。オーバーオールのNFBを増減するとACバランスが崩れるのは、この正帰還も増減されるわけで、当然、初段の増幅度が変化すれば、負荷分割抵抗がそれにつれて最適値が変わってしまうわけだ。QUAD2型アンプを一から設計して製作する場合、先にNFBをかけて後からACバランスをとらなければいけない。
尚、製作にあたっては、6CW5と12AU6を使いQUAD2アンプの勉強のためにローコストな試作機を製作した。それを含め、このアンプの製作過程は、こちらに載せている。 ものぐさオーディオの日記 QUAD2 QUAD2 : ものぐさオーディオの日記 (livedoor.blog) QUAD2型のアンプを違う真空管や特性の異なる出力トランスを使ってアマチュアが新規に設計して作ろうとすると、結構難しい。製作してみて、QUAD2型の回路はシンプルだが非常に奥が深い回路だと感じた。それでいて音質も良い。オリジナルの設計者のピーター・ウォーカーは偉大だったと改めて思う。 音楽とオーディオの部屋 トップページへ |