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オリジナル盤と復刻盤
ステレオ初期のオリジナル盤と最近の復刻重量盤
CDが充分に普及した頃から、従来のアナログLPより厚くて重い復刻盤が限定で発売されるようになった。例えば日本のキングレコードが1986年から10年以上にわたって発売したスーパー・アナログ・ディスクなどである。
現在でも、米国RTI社では高音質なLPのプレスをやっている。90年代半ば頃にはHQ180という180gの重量盤が、また21世紀になってからは200gQUIEXSV−Pという200gの重量盤がプレスされるようになった。
幸運にも、RCAのLivingStereo時代のハイフェッツの演奏するバイオリン協奏曲ばかりを集めた9枚組の200g QUIEX SV-P復刻盤のセットを格安に手に入れて、順番に聴いているが、これは音がとても良い。シベリウスやチャイコフスキーはオリジナル盤もあるが、正直、拙宅ではオリジナル盤よりも200g復刻盤の方が良い音で鳴る。
特に、この中では、チャイコフスキー バイオリン協奏曲 ライナー指揮 シカゴ交響楽団 LSC−2129は、同一音源のオリジナル盤、180gでの復刻盤(CLASSICRECORDS)、200gQUIEXSV-P復刻盤(CLASSICRECORDS)、3種を同時に所有することになり、この音質の違いを報告してみることにする。
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200gQUIEXSV-P盤 |
180g盤 |
オリジナル盤 |
レーベルは、200gQUIEXSV-Pには、オリジナルにある溝のような線があるが、180g盤はもっと内周部にある。
私の印象では、音質は、200gQUIEXSV-P盤>180g盤>>オリジナル盤という感じである。また、200gQUIEXSV-P復刻盤と180g復刻盤の音質差はわずかで、前者が高域の歪み感がなく綺麗に伸びきっているのに対し、180g復刻盤では若干歪っぽい感じがあるくらいで、共にFレンジが広く中域がぶ厚くて鮮度も高い。オリジナル盤が鮮度の点では最も良いが、いかんせんFレンジが狭すぎて、オーケストラの広大なFレンジを充分に再生できるだけのものとは言い難い。もし、これが室内楽やジャズだったなら、Fレンジが狭くても気にならないだろうが、大編成のオーケストラはFレンジが狭くては不利である。また、従来の再発盤にみられるように、Fレンジは広くなったが全体的に音が細くなってしまったというデメリットが、これら復刻重量盤にはない。
良い復刻とそうでないものがある印象
様々なクラシックの復刻重量盤を聴いた感じでは、スピーカーコーナーのDECCAの復刻は、正直あまり良いとは思わない。キングのスーパーアナログも、中には良いものがあるが、全体的には音がふやけてぼけた感じで残念なものも多い。むしろ、ロンドンの国内重量盤なら、89年ごろ出たロンドン・ファイナルLPシリーズの方が良いものが多い。
アナログ・プロダクションのヴァンガードの復刻、クラシックレコーズのRCAリビングステレオやマーキュリー・リビングプレゼンスの復刻は素晴らしいものが多い。
テスタメントのEMIの復刻はかなり良いものがある印象だ。しかし、EMIのは70年代のスタンプニッパーのものに比べて鮮度で劣るものも多い。
一般にLPレコードの音質はオリジナルが一番良いと思われているようだが、実際には再発の方が良かったり他国でプレスされたものの方が良いものもある。オリジナル盤は初版という希少価値もあって人気のあるものには高価なものが多いが、音質第一でLPレコードを収集するのなら、必ずしもオリジナル盤が唯一絶対的なものにはならない。
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