CDの音質は良いか?悪いか?

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最近、音の良いCDソフトが増えてきました。82年に登場したCDですが、音質は90年前後に良くなって、97年頃を境にさらに向上し、2000年を過ぎてかなり円熟してきている感じを受けます。私の知人でいままでずっとアナログを一生懸命やってきた人たちの中で、私と同様に感じている方も多いのです。


それなら、なぜお前はアナログLPの再生に一生懸命になのかと言われれば、それはアナログLPの時代の音源に愛聴盤が多く、復刻されたCDよりオリジナルに近いLPの方が気持ちよく音楽が楽しめるものも多いからです。しかし、新しい録音のものはCDで楽しめば良いし、最近ではクラシックの組物の廉価盤で1枚あたり¥300〜¥400で聴けるものでも値段が非常に安いのにもかかわらず音質が良いCDソフトが増え驚喜しています。なぜ、CDソフトの音質が良くなっているかと言えば、DVDやSACDの技術がCDに応用され、録音スタジオやマスタリングの現場で新しい良い機械が使われていること、技術者の音の良いソフトを作るためのノウハウが蓄積されてきたことが大きいと思われます。最近では、LPが全部で3000枚ほどあっても、3年間一度もかけたことがないLPも多く、聴かなくなったLPは処分して、愛聴盤を含む全部で1000枚程度のLPがあれば良いかなとも思います。


いや、そんなことはない、CDの音は良くない、最近のCDはもっと音が悪くなっていると思われている方もいらっしゃるかも知れません。ジャンルによってはそうかも知れません。また、アナログ時代の物の復刻盤もポピュラーでは良い物が特に少ないです。私が良い音の物が良いというのは、クラシックやジャズ、洋楽ポピュラーの新しい録音のもので特にそう感じるのです。ただ、クラシックは、今までアナログLPで一生懸命集めてきた同曲違盤を買うことは少なくなっています。今まで知らなかった曲、古楽器などのものが増え、ジャンル的にもクラシック以外のジャズや民族音楽が増えています。また、復刻の技術も向上しています。復刻盤では、ドイチェ・グラモフォンのジ・オリジナルス、デッカのレジェンド・シリーズ、EMIのARTは、良い復刻のものが多いです。ポピュラーでもマイルスの新しい復刻盤は驚くほどで、数年前の金蒸着の高音質復刻盤がモヤモヤした音に聴こえるほどです。


音質が良くなって値段も安いのに、巷ではCDソフトがあまり売れないようです。これは、ちょうどLPがCDに変わっていく80年代後半の状況に似ています。87年頃、LPは売れなくなり輸入盤を中心に価格がかなり下がりました。みんなLPを見捨ててCDに走ったからです。今、思えばこの時期に一生懸命アナログLPを集め、高音質なアナログ再生を目指したのは正解であったと思っています。その後、LPのブームが起きて90年代初め頃には、再びLPの価格は上昇しました。中古の高級アナログ機器も同様です。当時、ガラードの301、401などは本当に安かったし国産の中古アームやMC用ステップアップトランスも投げ売り状態で、安いからMC用ステップアップトランスだけで8個も所有していた時がありました。当時からみたら、今からアナログ再生を極めようと思うと相当な割高感があります。


現在はどうでしょう。CDの再生機器は、かなり音質が良くなっています。CDと比べフォーマットとしては優れているはずのSACDやDVD−Aですが、実際に現時点では、30万円から50万円くらいの一体型のSACDやDVD−Aのプレーヤーの音質のレベルは、300万円くらいのCD専用セパレートプレーヤーに全く及びません。それは、まだフォーマットの利点を生かせるだけのノウハウの蓄積が無いからだと思います。また、クロックジェネレータなどを入れてクロック精度を高めるなりすれば音はもっと良くなりますから、16bit/44.1kのフォーマットの限界はまだまだ上にあります。これらのことがらも80年代半ばのアナログプレーヤーとCDプレーヤーを比較すると似ています。当時、国産最高級のアナログプレーヤーをきちんと調整した状態では当時のCDプレーヤーは、みな太刀打ちできなかったのです。ちゃんとそのことをわかっていた人たちは、そのままアナログLPの再生を追求したのです。であるならば、今はCD再生を追求するのに絶好の時代です。


昨今は、CDよりSACDかDVD−A再生に行くか、一度止めてしまったアナログLPの再生を始める方も居ますが、現在一番一般的で簡単に沢山の新譜ソフトが手に入るのはCDであるということを忘れないで頂きたいと思います。