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コピーコントロールCD(CCCD)の発売に思う




最近、コピーコントロールCDなるものが発売されました。コピーコントロールCDとは、従来のCDとは違い、ソフトにコピー防止のためのプロテクトがかけられたCDです。

私はまだこのCCCDは買っていませんが、ソフトメーカー、ハードメーカーのあつれきもあります。いくつかのハードメーカーは、CCCDは、いわゆるCDの規格内で製造されたものではないから、機器の動作の保証はしないという見解を発表しています。以下に参考になるサイトがあります。

                            コピーコントロールCD関連リンク集


 消費者そしてオーディオ愛好家の立場での私の考えや思いを書いてみました。



CCCDの問題点

CCCDの問題点は、著作権の保護の名のもとにコピー防止機能をつけたが、これがとてもいい加減で、音質の劣化、かけられない装 置がある、再生装置の動作保証がなされない(ハード機器メーカーが再生保証していない、ソフトメーカーはその場合でも原則返品に応じてくれません)という、とんでもないものです。パソコンでリッピングしにくくすることで違法なコピーや違法なネット配信を防ぎたいということと引き替えに音質が悪化することとCDプレーヤーの動作が必ずしも保証されないということが問題なのです。コピーが自由にできなくなるということではないのです。実現が可能なら、CD業界はこの点がしっかりクリアできたコピープロテクト技術を開発されてから発売すべきだったと思います。



CDの売上低下の原因はコピー問題とは別にある

ソフトメーカーの言い分は、デジタル技術が発達しコピーが容易になったためにCDの売り上げが減っている。著作権を保護する意味でもコピー防止のためのプロテクトをかけて販売したいということなのですが、実情は違うと思います。


CDソフトは高いか安いか?      

特に高いと感じるのは、J−POPなどの短期消費型の音楽のものです。今流行だから聴きたいけど、数ヶ月後〜1年後には必ずあきるというたぐいの音楽CDに¥3000、CDシングルに¥1000なんて支払うのはバカみたいです。個人的にこういったものは買ってみたいとは思いません。このような音楽の消費者である10代から20代の若者は、携帯電話やインターネットなどの通信費がかかるために、高い短期消費型の音楽CDを買わなくなっているのであって、野放しのコピーが原因であるとは思えません。

逆に長期に愛着が持てて末永く聴こうと思うCDであれば¥3000払うのにいささかの躊躇もありません。むしろコレクションとして積極的に集めたいと思うし、音楽家への敬意をこめて買おうと思うのです。こういった性格の音楽ソフトは、レンタル屋さんに行ってもまず置いてありませんし、価格的にも再発ものがCD屋さんで比較的安価に売られていたりしますから、違法コピーされることは少ないので従来のCDの形態で発売して欲しいと思います。

CDは何十年も聴ける入れ物だが、肝腎な中の音楽の寿命は数ヶ月。

CDというものは、傷つけたりビット面が錆びるまでは初期の状態を保ったまま何十年も繰り返し聴けますが、爆発的にヒットするものの、数ヶ月で忘れ去られるような寿命の短い音楽がその中に入っているということのミスマッチがデジタル時代になって大きくなったように思います。目先売れれば良く、すぐ飽きるものばかり出して、本質的に良いものを作ろうという姿勢が今のソフトメーカーには欠けているように思います。

コピープロテクトによる音質劣化や機器の不具合はどうしてくれる?

コピープロテクトCDによる被害者は、いままでちゃんと正規の音楽ソフトをお金をだして買っていた人達です。オーディオをやっている人達のほとんどは、いくらデジタルとはいえコピーすれば僅かでも劣化しますから、コピーなどせず正規の音楽ソフトを購入している人が大半だと思います。コピープロテクトが入ることで音質が犠牲になるのであれば、お金をだして買っていたオーディオマニアは買わなくなるでしょう。また、CDプレーヤーの動作が保証されないなんて消費者不在の暴挙だと思います。実際に私の知人のカーステレオのカーナビ兼用のCDプレーヤーは、CCCDを認識せず、かけられないそうです。



CCCDの音質

基本的に、同一音源の通常のCDよりCCCDは音質が悪いです。この理由は、「MJ無線と実験」というオーディオ技術雑誌の2004年5月号の中に詳しく書かれています。それによると、CCCDの音質劣化要因は、実はガラス原盤の製造工程に挿入される歪み発生器、すなわち  ”コピー制御エンコーダ”が原因で、この装置がジッターやコモンモードノイズなどを発生するため、それによる音質劣化が 無視できないということです。

普通のCD-DAでさえ、マスターからCDを作る工場を変えるとまったく違った音質のディスクができますので、洋楽の日本盤と外盤の音質差がはっきり認識できるような装置では、もし、通常のCDとCCCDが比較できるのであればその差は歴然でしょう。通常のCDをCD-Rにコピーしても記録されたデータは同一でも音質は劣化しています。だから、音質にこだわって音楽を聴いていた人たちは、ちゃんとコピーなどせずパッケージCDを買っていたのです。

CCCDの先駆者エイベックスが発売しているJポップは、ラジカセや安いミニコンポ、カーステレオなどで聴きやすいようにしあげられているものがほとんどで、CDプレーヤーだけで数十万円以上するような高性能な装置で聴くと、もともとドンシャリのひずみっぽい音質で聴くに堪えない劣悪な音質のものが大半ですから、音質が劣化することに対しての問題を軽視したのでしょう。

しかし、ここにきてEMIなどのクラシックやブルーノートなどのジャズなどもCCCDで発売されるような業界の流れができています。昔のアナログ音源の復刻盤がCCCDで発売されたら、今までの通常のCDの方が音が良いのに気が付く人たちが多くなって中古の通常CDが高くなりCCCDは売れないという状況になるのではと心配しています。実際私は、いくら魅力的に思える内容のものであっても、CCCDなら買わない方針です。97年以降にリマスターされた通常のCD-DAの復刻盤は音質がいいものが多くなっていますので、CCCDになってしまわないうちに欲しいものは買っておきましょう。



レコード会社への不信感

いい加減なコピープロテクト技術

CCCDのコピープロテクトはいい加減で、パソコンによっては全く機能せず、そのままリッピング、コピーできてしまう場合もありますし、そうでない場合も工夫すれば簡単にコピーができてしまうものらしいです。これでは、あきらかに悪意をもって違法なコピーをする人は、プロテクトを外すことまでしてコピーすることを考えるでしょうし、本質的な問題解決にはならず、むしろ正直な購買者まで犯罪者のように扱うようなメディアであり、ハード機器メーカーがその再生保証をしないようないい加減な物の発売は、ソフトメーカー、ハードメーカー、ユーザーの3者間の不信感を増幅するだけだと憂慮します。CCCDの発売によ る熱心な音楽ファンのレコード業界への不信感は、もうどうしようもないくらい大きくなってしまっ て修復は不可能なほどになってしまっていると感じます。CCCDの発売はまさに業界ぐるみの自殺行為ともいうべき暴挙 です。

コレクションしたくない規格外パッケージメディアは買いたくない

クラシックやジャズのような、マニアが購入する比率の高いジャンルの場合、レコード会社は、 わざわざ規格外の商品を作る手間とヒマがあるなら、良い演奏、良い録音、魅力的なジャケッ トや解説書を付けるなりして、買い手にコレクションしたいと思わせるような工夫をするのにエネルギーを使うべきだと思います。

本来レコード会社というものは、アーチストの演奏を、現時点で一番いい状態で聴き手 に届けるような努力をすべきで、だからこそ、エジソンの蝋管から始まり100年以上あるレコードの歴史の中で、音質や使い勝手は時代を経るにしたがって良くなって来ました。 CCCD化は、CDがコレクションの楽しみもあるパッケージメディアでもあることをレコード会社が自ら放棄したもので、収集の魅力は減退しています。そういった会社・アーチストのCCCDは買いません。


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