TRIODE Mini84MK2

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パーツショップイワサキさんという、静岡のパーツ店で、TRIODE Mini84MK2という6BQ5シングルステレオアンプキットを格安に入手した。現在は、フォステクス8cmフルレンジFE83Eを2リットル程度の小型のバスレフエンクロジャー(エヌテックBKN1013)に取り付けたスピーカーとソニーのハーフコンポサイズのCDプレーヤーで、仕事場のBGM装置として活躍しています。


     


キットの中をあけて部品をみてみますと、安価なキットなのに筐体は驚くほどしっかりしています。完全自作であれば、筐体は1mm厚の弁当箱が定番ですが、鋼鉄製でしっかりした塗装がしてありフロントパネルは10mmくらいの厚いアルミの板を加工して作ってあります。これは凄い。


MINI84MK2の良さは、コンパクトなことで、サブで使うのに邪魔にならない大きさであることです。様々な改造をしたいという雑念は取り払い、とりあえず部品も純正のままでメーカーの指示どおりに組んでみました。組みあがるのにかかった時間は実質5時間。基板のハンダ付けは楽だが、基板をシャシー内部に取り付けてからのコードの配線は、狭い中にコテを突っ込んで行うので、結構神経を使った場所もありました。特に、大きな電解コンとセメント抵抗の間の隙間にアースの線をハンダ付けするのは大変。ここのハンダ付けは、基板にパーツを付ける時に、最初に20cmぐらいコードを切ってハンダ付けしておく方がいいです。


音は、メリハリのある多極管独特の音。最低域は出ていませんが、悪くないです。スターリングにも接続してみましたが、大編成のオーケストラではいささか苦しいが、ボーカルや室内楽では充分に聴けるクオリティです。少し聴きこんだら、やわらかさ、しなやかな感じが出てきました。正規に買っても3万円のキットなので、25cmウーハーをきちんと制動できないとか、出力が小さいので音量を上げようとするとドラムのアタックなどがサチってしまうことはあるが、小音量でBGM的に小型スピーカーを鳴らすのには、これで充分だという気がします。


中学生の時にラジオのキットを作ったのと同じような感覚でトライできるのが良い。ただし、このくらいの値段のキットには過度な期待はしない方が良いと思います。真空管アンプでも材料代に10万円以上かけた上手く出来たものと比べてしまえば、それ相応の差があることも事実です。


残留雑音は両chとも1mV(カタログ数値0.8mV)くらいです。極端に能率の高いスピーカーでなければ、SNに問題は起きません。電源にチョークコイルを使っていないシングルアンプで、この程度ならば立派です。


総合的にみて、実売3万円で買える真空管アンプキットとしては、とても良いものだと思います。


気になった点を挙げてみます。



電源トランスのうなり

電源トランスはかなり熱くなりますのでおそらく電力容量いっぱいで使われているのでしょう。そのせいか、電源トランスのうなりが気になります。場合によってはスピーカーからのハムノイズより気になります。



スピーカーターミナルの端子がとても華奢なこと

細いスピーカーコードしかとりつけられません。まあ、値段が値段のアンプですので仕方がないかもしれませんが、ACインレットをつけずACコードは直出しでもいいから、スピーカーケーブルの端子は丈夫なものを装備して欲しかった。

         

         

上の写真にあるサトーパーツの4P端子板(貫通式)には、ネジや端子幅がこのキットにぴったりのやつがあります。やや細身ですので上下は少し隙間があいてしまいますが、スピーカーケーブルをネジ止めするようになりますので、信頼性ははるかに向上しそうで取り替えようかと考えています。この端子はパーツ屋さんで1個100円ちょっと程度で買えます。

スピーカーケーブルにYラグを取り付けて、ドライバーでネジを締めてしまうと、確実にケーブルを接続できますし、結構太いスピーカーケーブルでも大丈夫な状態になります。



シャーシの下側が少し歪んでいる

シャシーは頑丈で、とても良いのですが、細部の造りは丁寧ではありません。シャーシの下側が少し歪んでいるので、底板をつけて平らな場所に置くと、4つのゴム足のうちの1つがかなり浮いています。底板をネジでしっかり取り付けると底板が歪んで取り付けられるからです。仕方がないので、四隅のうちの一箇所のみ底板とゴム足の間にワッシャーを挟んでネジ止めして水平を出しました。



2000時間稼動させたら、電解コンデンサが膨らんできた!

昨年6月に完成し、1日10時間、月間約25日ずつ稼動させた今年の3月、ノイズが多くなってきました。ちょうど2000時間稼動させたくらいです。点検のため裏ブタ開けてみたら、何と+B電源の450V100μFの電解コンデンサの頭が膨張していました。

このような頭が膨らんだ状態になった電解コンデンサはもう逝っていると思ってよい
ので、手持ちにあった同等品に交換しました。やはりノイズの原因はこの電解コンデンサの劣化にあったようで、交換後は、ノイズも無く快調に戻りました。

しかし、出力管のロシア製6BQ5は、ゲッタが多少黒くなっているのみで、まだ使えるので交換していないのです。球より電解コンデンサの方が寿命が短いのはどうしてなのでしょうか?電解コンデンサは、使用される温度環境によって寿命が大きく変ってくるのは知っていますが、セットの中のコンデンサで膨らんでいたのはこれらだけです。セットも通気の良いところに設置していますし、触って熱くなりすぎているということもありませんでしたし、回路の電圧も正常で他の部品は全て無事でした。


ちなみに+B電源部はこのようになっています。

 240VAC → ブリッジ整流 → 450V47μF → 250Ω → 450V100μF → 250Ω → 450V100μF → 出力トランス

交換したコンデンサよりも、もっと高電圧がかかってリップルも多く過酷な動作条件にある450V47μFは、いまのところ無事です。銘柄によって寿命が違うのかもしれません。ちなみに、最近の小型で高耐圧大容量のものは、昔の大型のものに比べて寿命が短いようです。

ぺるけさんの掲示板で報告しましたら素早いお答えをいただきました。漏れ電流による自己発熱からの膨張の可能性があり、たまたまこの銘柄の電解コンデンサが不良だったということらしいです。同じロットの部品が使われているならば同じトラブルに見舞われる可能性があります。だとしたら、同じキットを組み立てて使っている他の方のも同じような症状が出ていないかということが心配です。 オーナーの方、裏ブタをあけて確認してみてください。


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